キレイなだけじゃないおんなっぷり


「トゥヤーの結婚」のヒロイン、トゥヤーは本当に働きもんだ。
それもハンパじゃなく。

だって、毎日往復30キロかかって水汲みに行き、
羊の放牧だって、おそらくは何キロ、何十キロは離れたところまで行っているはず。
その上、幼い二人の子供、そして事故で下半身が不自由になり
働けなくなった夫を抱えて。
普通だったら、夫がそうなった時にすでにめげてしまって、
途方にくれ逃げ出してしまうところだと思う。
でも、トゥヤーはめげない、ひがまない、文句を言わない、
そしてなんとキレイなことだろう。

そんなトゥヤーは誰からも頼りにされて、
隣人(と言っても何キロも離れた)のセンゲーは、
浮気性の嫁に振り回されては、飲んでつぶれて、
トゥヤーの世話になってる。

トゥヤーの体がボロボロになるのを見かねて、
夫のバータルは離婚したいという。
でも、トゥヤーが裁判所に申し出た離婚の条件は
再婚するときは元夫も養ってくれること。
ありえないでしょ!!
と思うことも、自分だけが幸せになるわけには行かない!
というひたすらまっすぐな想いだけ。

トゥヤーを妻にしたいと思っていた同級生のボロルが
再婚を申し出るが、バータルを施設に入れてしまう。
孤独に耐えられなくなったバータルが、自ら命を絶とうとしたときの
トゥヤーの言葉は、本当に胸を打つ。
この強さは、アジアの女の強さのような気がする。
これぞ、アジアンビューティなのだ!
(でも、アジアの女としての自分はどうかと言われればちょっとひるむけど)

それにしても、中国内モンゴル自治区(つまりモンゴルとは違うのです)の
人が暮らしていくには、あまりにも苛酷な環境。
そして、ここにも地球温暖化の影響は徐々に現れていて、
ますますトゥヤーたちの暮らしを脅かす。

極端に少ない雨量、そのために井戸は枯れ、
羊たちの食料となる牧草も育たず、
羊の出産も数年に一度になっているという。
じわじわと砂漠化していくこの土地に行きるトゥヤー。
トゥヤーとはモンゴル語で『ひかり』という意味だと言う。

単に苦労ばかりの女の物語ではなく、
さらりとユーモアも交えて、
心の中に大地をふきわたる草原のちょっぴり冷たいけど
さわやかで、心にしみる風のような映画だと思う。

監督が母を重ねたと言うヒロインが描くものは、
この荒地に大きな愛で光を与えている
一人のたくましくも美しい女の生に違いない。

mm












2008⁄07⁄19(Sat) 10:22   シネマホール | | | ↑Top
盛りだくさんの夏の企画


あっという間に7月も半ば。
なんと月日のたつのは早いこと。

シアターガイドを毎回追われるように作っていて、
やっと7・8月分が出来上がったと思ったら、もう9・10月分の準備に入らないと・・・

とはいうものの、この夏は本当にもう盛り盛りだくさんのイベント企画。
ドキュメンタリー特集5本のうち
「おいしいコーヒーの真実」→トーク&フェアトレードフェア
「ジプシー・キャラバン」→フラメンコミニライブ
「パレスチナ1948・NAKBA」→トーク
「非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎」→トーク
「ファヴェーラの丘」だけ特になし・・・でも、本当はヒップホップのライブなんか
できればいいなぁ、なんて考えていましたが、さすがに毎度毎度はちょっとしんどい。

それぞれに面白くて、え〜〜そうだったの?とか、う〜〜ん、そうなのか・・・
というようなお話やら内容です。
「おいしいコーヒーの真実」のコーヒー飲みながらの企画以外は、
映画をご覧になればもれなくトークつきですので、
ぜひトークもご参加ください!

あと夏休みのこどものためフォルツァまるごと探検&体験ワークショップも企画してますので、
これは、スタッフにとっても始めての体験なので、ワクワクドキドキ
なのですが、映画館やライブホールの裏側の探検や、ちょっとだけ仕事の体験など
なかなか普通はできない企画だと自負しております。
良い子のみなさん、ぜひフォルツァをまるごと体験してくださいね!

そして、今回はサポーターの皆さんセレクトの映画が登場する
「マナツノヨルノフォルツァ」レイトショウ!!
女の子目線で選んだ珠玉の名作ぞろいです!
「ジョゼと虎と魚たち」以外の2本は富山初公開というのもすてきです。

暑い夏を乗り越えるのは、やっぱり映画を観て感動すること!
これが一番ですよ! みなさん!











2008⁄07⁄11(Fri) 20:12   シネマホール | | | ↑Top
「普通の主婦」の非凡さ


マリアンヌ・フェイスフルと言えば、「あの胸にもういちど」で
不倫相手のアラン・ドロンのところにハーレーに乗って
しかも、素肌に皮のライダーススーツやってくる、
スレンダーでセクシーな女優さん。
この姿が、「ルパン三世」の富士子のモデルになったというのは
この「やわらかい手」の映画で知りました。

あの頃、中学生くらいだった私は、ホントにドキドキしました。

コケティッシュな魅力あふれるマリアンヌ・フェイスフルは、
17歳でミック・ジャガーとキース・リチャーズの作品で歌手デビューして以来、
ミック・ジャガーの恋人として、この時代のポップアイドルとして名を馳せました。
そのマリアンヌ・フェイスフルも、今や立派な貫禄の大姉御。

最近では、「マリー・アントワネット」でマリア・テレジアを演じていたのを
見られた方も多いでしょう。

「やわらかい手」では、一転「平凡な主婦」、しかも、
主婦仲間の中でも、ちょっと小バカにされているような、
いつも隅っこを歩いているような、
うわさ話の巣のような雑貨屋に入るのも、一呼吸置いて入るような、
そんな自信なさげな主婦マギーを演じている。

そんなマギーが不治の病に罹った孫のため、
なんと風俗店の接客業につく事に。

ところが、次第に行列のつくほどの人気を誇るロンドン一の
売れっ子になってしまい、ひじを痛める職業病になるほど。
(このくだりはホントに笑える!)

こうなってくると、「平凡な主婦」は不思議な輝きを発してくるわけで。
そんな姿を見守る風俗店のオーナーのミキとマギーとのやりとりのシーンは
とっても好きだな〜。
特に「君の歩き方が好きだ」なんて!
これは、ミキ・マノイロヴィッチにしか言えないセリフかも。

息子との関係、嫁との関係、仲良しを振舞う友達との関係、
同僚?との関係、オーナーとの関係、マギーを取り巻く
いろんな人間関係が、次第に変わっていくその展開と瞬間が
さまざまな伏線から、そうなるんだろうな、と分かりながらも心地よい。

でも、なんと言っても何十年ぶりに主演を演じた
すでに還暦も過ぎたマリアンヌ・フェイスフルの
ドラック中毒という修羅場をくぐってきた存在感と
人間味あふれる魅力が、最大の見所だと思う。

この映画は結構笑える映画なので、可笑しいところは
ぜひ、素直にクスクス笑ってくださいね!

mm














2008⁄05⁄31(Sat) 20:00   シネマホール | | | ↑Top
動き出す絵画・レンブラントの夜警


先日「レンブラントの夜警」を試写で見ました。
遅れながらもその報告をします。

「レンブラントの夜警」の感想は、これは理解する映画ではなく、感じる映画ということ。
まず初めに言っておくと、この作品は、会話も人名が多くて、
途中で区別が付かなくなり混乱します。話の流れも大筋は分かるけれど、細部になってくるとよく分からなくなってくるでしょう。
かなりぶっちゃけて言いますが…
 
しかしそんなことはどうだっていいんです。
画面にあふれるぼんやりとした光とか、映画の中での音楽とかが
僕の心の中で膨らんで、2、3日は頭から離れることがありませんでした。
ピーター・グリーナウェイ監督は、今までにもそんな映画を撮ってきた異色とも言える監督です。
おそらく変人気質な。
中学校のころ、ある映画雑誌で偶然にも
グリーナウェイの「zoo」という映画のポスタージャケットを目撃しました。
そのジャケットの、シマウマの死体が投影されたスクリーンを見ている双子の兄弟が、
妙に印象的で、なんだか見てはいけない物をみてしまった妙な気分、
入ってはいけない場所に足を踏み入れた気持ちになったのを覚えています。

だから僕の中で、グリーナウェイとは、人の脳や心に直接的な印象を残してしまう監督です。
さて、今回久しぶりとも言えるグリーナウェイの新作、
「レンブラントの夜警」はどうだったかというと、
案の定、じっとり湿った匂いのたちこめた、彼らしい作品に仕上がっていました。
グリーナウェイは以前画家としての勉強をしていただけあって、
今回は非常に絵画的な画面構成で、始めの15分で僕はやられてしまいました。

はじめの食卓のシーン。
それぞれの食卓にレンブラントの家族や召使、弟子などが座って食事をしているシーンです。
たあいもない会話。しかし画面は一枚の大きな絵画のようです。
おそらくその時代の絵画でこういうのがあるんだろうと思います。
一瞬、美術館で絵を観賞しているような気分になります。
そして目をこらすとその絵の中の人々がかすかに動いています。
絵の中の人間が生きている、動いて食事をして、話している。
とても不思議な感覚です。グリーナウェイの魅力はまさにこの感覚です。

もう一度言うと、グリーナウェイの作品は、理解しようとするのではなく感じることが大切です。
話の流れなどそっちのけで、その時その時の
セリフとか音楽とか風景とか人間とかいったものを感じる見方もありだと思います。
映画を観終わって、「あのシーンのあのセリフが好きだった、もう一度見たいな。」と思えればいい。
 
テレビドラマみたいにストーリーを語るだけの単純明快な作品ではありませんが、
それとはまた別の面白さがある映画です。


ryuzo





2008⁄05⁄13(Tue) 10:27   シネマホール | | | ↑Top
欲情と愛を武器に彼女は・・・・


「ラスト、コーション」を東京で観て、先日試写で2回目を観ました。
やっぱりすごい。

話題になっている激しいベッドシーンもさることながら、
とにかく濃密な時間と空間。

顔のアップシーンが多いというのも一つだと思いますが、
上海の上流婦人たちのマージャンシーン一つとっても、
マージャンの手を読もうとしているのか、
それとも互いの本音を読もうとしているのか・・・
洗練されたチャイニーズドレスの美しさ、綺麗にマニキュアされた手に輝く
「鳩の卵」のような宝石の指輪。
まったく隙のないファッション。

ワンとイーが始めて二人で見つめあうレストランのシーン。
互いを探るような、挑発するようなまなざしと、
綱渡りを楽しむような会話・・・



当時日本軍に占領された中国の若者たちにとって、
未来を描くこともできず、今を自由に生きることもできなかった。
演劇部の学生が「愛国心」をテーマに演じたことで、
愛国思想に傾いていく若者たち。
そして、ついに「演じる」ことを武器に、
売国奴として憎まれ、そして徹底した冷酷さで恐れられいた
イーの暗殺を企む。
彼らにとって、それはまだゲームのようなものだったのかもしれない。
ある時点までは。

ある陰惨な事件をきっかけに、後戻りできなくなる彼らの中の一人
最も演技がうまく、そして内に秘めた激情も大きなワンが、
プロの女スパイとしてイーに近づき暗殺する「役」を演じることになる。

LUSTとは、欲情の意味。
そして、戒は、戒めであり、中国では「指輪」の意味もあるという。
この映画にとって、「指輪」は大きな意味を持ちます。

そして、欲情が愛に変わるときの男と女の切なさと、
己の中に、思いかけず生じたむき出しの愛を知った時の、孤独。

それを描こうとすれば、やはりあの暴力的でありながら、
なにか悲しいセックスシーンにも納得ができます。

稲垣吾郎がある番組で言ってました。
「セックスシーンで涙が出る映画って始めて」
思わずうなずいてしまう私でした。

mm













2008⁄05⁄09(Fri) 12:23   シネマホール | | | ↑Top

| HOME | next >>

プロフィール

Author:forzasogawa
FC2ブログへようこそ!

最近のコメント

最近のトラックバック

ブログ内検索

リンク

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

↑Top



Copyright © 2008 フォルツァ総曲輪日記. All Rights Reserved.